49日レシピという文庫本をブックオフで見つけました。

なぜこの本に惹かれたのかは、思い出すことができません。

そもそもポプラ社発行の本を読むこと自体初めてかもしれません。

 

でも、出会えてよかったと思える本でした。

誰にでも起こりえる出来事が、とても優しく描かれています。

あまりにホノボノとしていて、それでいて切なくて、親の立場で読んでみた感想を書きたいと思います。

49日のレシピ あらすじ♪

妻に先立たれた良平には、嫁に行った娘が一人います。

娘は前妻の子で、亡くなった乙美は娘の継母にあたります。

娘の百合子は、継母に上手く甘えることができませんでした。

それでも、心の中では母として敬愛していたことを、継母の死によって痛感します。

 

この物語は、継母の乙美が亡くなってから49日を迎えるまでの物語です。

 

乙美の葬式が終わったあと、百合子は夫が浮気をしているのを知ってしまいます。

浮気相手に子供ができたことを知って、子供ができない乙美は離婚届にサインをして家をでます。

 

向かったのは、父が一人で住む実家です。

父親の良平は、乙美を亡くしてからは、風呂にも入らず食事もまともに摂らない日々を送っていました。

 

そんな実家に、百合子より先に訪れたのが井本という女の子でした。

井本は、乙美がボランティアで絵手紙を教えたり、家事全般を教えたりしていた施設の出身です。

もし自分に万が一のことがあったら、家に行って49日まで良平の世話をして欲しいと頼まれていたといいます。

 

良平、百合子、井本、そして井本が連れてきた外国人の男の子ハルミが賑やかな毎日を送りながら、それぞれに進むべき道を模索します。

 

井本とハルミの正体は・・・まさか有り得ない。けど、あり得るのかもしれない。

不思議な余韻を残すラストになると、読んでいる私も切ない気持ちにさせられます。

49日のレシピを読んだ感想

大切な人が、ある日突然亡くなってしまう。

それを考えただけで、落ち着きがなくなるような気がします。

 

口論をした後に、二度と謝るということもできないとなったら、自分を責めることを止められないかもしれません。

 

それでも生きていかなければいけない時、どうやって前に進んだら良いのでしょうか?

何もかもが面倒になってしまったら、どうやって生き続けたら良いのでしょうか?

 

本を読むということは、そうした事を疑似体験できるという事でもあります。

年齢的に終活なども考え始めるお年頃の私は、とにかく時間を大切に楽しみたいと思っています。

だからこそ、感謝の気持ちを忘れたくはないと、49日のレシピを読むことで改めて感じました。

 

49日のレシピは、立場が違うと感じ方が違うかもしれません。

離婚を決意して戻った百合子と同じくらいの年齢の人なら、親を亡くすという現実や夫婦関係について、一つの例として共感する部分が多いかもしれません。

 

一方、良平の年齢に近い私のような読者の場合は、親や妻、夫の立場で読むことができます。

娘を裏切った婿に対し憤りを覚えると同時に、正義感が強く柔軟性に少し劣る娘ゆえに義息子の心の動きも理解出来たように感じることもある良平の気持ちが分かります。

 

突然現れて、突然消えていった井本とハルミの存在も、どこか不思議な感じです。

最初は特に違和感なく読んでいました。

しかし、ハルミというあだ名を外国人の男の子に付けたあたりから、あれ?と感じ始めます。

 

49日の法要を乙美が望んだ通りに終わったあと、それぞれがそれぞれの道に歩み始めます。

祭りの後の静けさにも似た、いたたまれない寂しさを感じました。

誰か良平と一緒に居てあげて!とお願いしたくなります。

 

日常に起こる不変の出来事に、少しだけ玉虫色のベールをかけて奏でられた物語です。

こうした本を読むと、とても優しい気持ちになれます。

ゆったりした時間を過ごしたいときにお勧めです~♪

 

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