海道一の弓取とは、弓の腕前をいっているわけではありません。
東海道一の武将だったという意味です。
輿に乗って、お歯黒で、キーキーと公家言葉でしゃべりるお殿様というイメージは最近作られたもの。
2020年NHK大河ドラマ「麒麟が来る」では、今川義元役は片岡愛之助さんですね。
確かに公家っぽい雰囲気を持ちながら、東海道最強の武将だった今川義元には最適に思えます。
今川義元の年表
1519年、駿河の国に生まれた今川家第11代当主です。
今川家は、義元の父氏親の代に守護大名から戦国大名へとのし上がってきました。
従って、今川家が戦国大名になって一代目が父の氏親。
二代めは嫡男だった兄氏輝ですが、早々に亡くなっています。
その後兄弟で家督争いが起こり、それに勝った義元が三代目当主となりました。
そして義元が当主になってから、それまでの領国だった駿河・遠江からさらに三河まで進出したのです。
しかし海沿いのこの3国は、決して米の取れ高が多いわけではありませんでした。
当時の規模でいうと、10万石そこそこの大名といったところだったようです。
それがなぜ海道一と言われることになり、大規模な兵力を持ち恐れられたのか！？
理由は二つ考えられます。
一つ目は金山を保有していたこと。
駿河には安倍川上流の安倍金山、富士山麓の富士金山などの他に、沢山の金山がありました。
ちょうど義元のころ、金鉱石から金を効率的に採取する精錬法が伝わったため、莫大な産金収入があったと考えられます。
もう一つは、東海道という主要幹線道路にある国であり、海路でも港町としての活気と繁栄がありました。
そこで新興勢力として力を蓄えてきた商人たちと手を結び、商売をやりやすくする代わりに多めの年貢を納めさせるなど、政治経済的にも辣腕を振るった武将でした。
織田信長の父信秀没後起こった家督争いの隙に乗じて、織田領の一部を手に入れています。
織田領を全て手中に収めるべく出陣したのが、桶狭間の戦いの始まりでした。
そのころ信長は身内の抗争に勝利し織田家を継いだばかりで、尾張領内は全く安定していない状態でした。
籠城か野戦か、織田勢の意見が分かれる中、信長は全く動じず寝ていたと伝わっています。
信長は諜報活動の結果、合戦の前日に今川側の松平元康（のちの徳川家康）が大高城に兵糧を運び込んだことを知っていました。
そして丸根砦・鷲津砦の2つの砦が攻撃されれば、義元も大高城に入ってくると考えていました。
大高城に向かうには「桶狭間」という長くて狭い道を通る必要があるため、ここに勝機を見出したのです。
大群が細い隙間を抜けるには、文字通り長蛇の列となりピンポイントでの兵力はゼロに近い状態まで落ちてしまいます。
義元には不安がまったく無かったののでしょう。
義元が小休止に選んだ場所は、桶狭間付近でした。
そこで信長勢は農民に変装して、今川勢に酒や食事を提供し油断させたうえで、一気に奇襲をかけました。
しかもスコールばりの豪雨があり、信長勢は雨に隠れて移動ができ、今川勢は指示系統の声がかき消され応戦ができなかったそうです。
まさに天の恵みの織田軍、天に見放された今川軍といった様相でしょうか。
1560年6月12日、この地で今川義元は戦死。
義元の首は清須市の須ヶ口という所でさらされました。
今川軍が即刻撤退を開始した中、義元の家臣、岡部元信だけは鳴海城を守って信長軍と戦っていました。
彼は信長の部隊を撃退し、主君である義元の首と引き換えに城の明け渡しを申し出ます。
信長は元信の忠義に感動し、義元の首を丁寧に棺に納めて送り届けました。
義元の墓については二つの説があります。
今川家と縁のある東向寺に塚を築いて埋葬されましたという説と、駿府で埋葬したのち今川家の菩提寺・臨済寺に移したという説です。
今川義元のお歯黒と輿はなぜ？
今川家は足利一門の名家です。
足利家から吉良家が分かれ、その吉良家から今川家が派生しています。
輿に乗ることは足利将軍家に許可されたためであり、今川義元の権威の象徴でした。
その権威を田舎侍の織田信長に見せつけ威圧するつもりで輿に乗って参戦した結果、機動力を欠いてしまい死に至ったというわけです。
またお歯黒は、この時代にある程度の地位にあった武将にとって当然のマナーでした。
決して今川義元だけがしていたわけではなかったお歯黒を、義元のキャラを際立たせるための演出として公家風義元が作られてきたのです。
2020年NHK大河ドラマ『麒麟がくる』では、どんな今川義元が登場するのでしょうか。
とっても楽しみですね♪
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