2020年NHK大河「麒麟が来る」での織田信長役は、染谷翔太さんがキャスティングされています。
今までとは違う信長とは、どんな信長を見せてくれるんでしょうか。
筆者は、主人公明智光秀の側からみた信長を想定してみました。
織田信長とはどういう人?
「大ウツケ」と呼ばれていた話は有名です。
幼少期、母親の愛情が弟にだけ注がれたことが、信長の性格をゆがめ、今でいうヤンキー化していたらしいと言われています。
城下で年齢の近い子供たちと遊び惚けていたというのは、あながち嘘ではないようです。
父信秀の葬儀の際の様子を、信長公記では次のように書き残しています。
「信長が焼香にお出でになった。服装は長い柄の太刀と脇差を稲穂の芯でなった縄で巻き、髪は茶筅で巻き立て袴もお召しになっていなかった。信長は仏前に進み出ると、抹香をパッと掴み仏前に投げつけてお帰りになった」
まるっきり何かに拗ねている若者そのものではないでしょうか。
父信秀には24人の子供がおり、信長は三男でしたが、正室の子であったため嫡男となりました。
信秀の時代、尾張国の下四郡の守護代であった織田大和守家(清洲織田家)の家臣にして分家であり、清洲三奉行という家柄でした。
しかし本家の織田家がお家騒動などで衰退する中、勢力を広げていったのです。
急死した父に代わって尾張をまとめる力は信長にはありませんでした。
弟との確執が悪化し、最終的には謀殺しています。
これだけではなく、様々な機会に粛清を実行しており、信長を裏切る家臣が次々と現れています。
そしてその最たるものが、明智光秀による本能寺の変です。
信長が革新的な政治家・武将とされた理由
江戸時代、実は織田信長の評価は低いものでした。
浄瑠璃などでも悪役や引き立て役でしかなかったそうで、中には明智光秀は知っていても織田信長は知らないという人も多かったそうです。
ではなぜ信長が持てはやされてきたのか、その最初は幕末に信長を「超世の才」として高く評価した頼山陽の『日本外史』という書物です。
この本は、尊皇派に大きな影響を及ぼしました。
信長の覇業こそが、豊臣・徳川の平和に続く道を作ったのだと論説しています。
続いて信長に注目が集まったのが第二次世界大戦後でした。
改革者信長にスポットを当てた小説が次々発表され、好評を得ました。
1944年に坂口安吾が短編小説「鉄砲」を発表し、近代的な合理主義者としての信長像を打ち出しました。
合理主義者としての信長のイメージは、高度成長期に発表された司馬遼太郎『国盗り物語』、バブル期の津本陽『下天は夢か』といったベストセラー小説を通して広く浸透することになりました。
つまり信長を今のような像に作り上げたのは、本当に最近だということができます。
2020年NHK大河「麒麟が来る」の信長は・・?
ここからは筆者の想像でしかありませんが、光秀側から見た信長を思い描いてみます。
まずは落ち着きがなくて我儘で、人を信用する事ができない反面、思わぬところで優しさを見せるような、ギャップを見せてくれるのではないでしょうか。
自分の権力が大きくなるのに並行して、力を使って押さえつけることしかできない可哀そうな人になっていくのような気がします。
当時の信長を考えると、父から政治について学ぶ時間はなかったように思います。
主家を倒し勢力を拡大する父の元で育った信長は、父と同じことをしたに過ぎないのではないかと思えてしまいます。
もしかしたら、信長は本当は臆病だったのかもしれないなぁと想像してしまいます。
2020年NHK大河「麒麟が来る」では、素に近い信長が現れるかもしれません。
新しい信長、楽しみですね。
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