幕政を憂いていた憂国の志士、2021年NHK大河ドラマ「青天を衝け」の主人公・渋沢栄一が、あろうことか自分が嫌っていた武士になります。
なぜこんな展開になるのか、人との出会いとは摩訶不思議としか言いようがありません。
渋沢栄一がなぜ武士になったのか、その経緯を紹介しましょう♪
渋沢栄一が一橋家の家臣になったやむを得ない理由とは
一橋家の重臣・平岡から、再三士官せよと誘われていたにも関わらず、首を縦に振らなかった栄一。
そんな栄一が家来になったのには、やむにやまれる事情があったのです。
坂下門外の変に計画段階のみとはいえ加わっていた長七郎が捕まったのです。
しかし捕縛された理由はそれではありませんでした。
京で遊び暮らしていた栄一が長七郎を呼び寄せ、彼はその誘いにのって中村三平らと一緒に江戸に向かいました。
しかし戸田の渡しを過ぎた直後、長七郎は正面から来た飛脚を一刀両断、切り捨てたのです。
切り捨てた理由は本人も定かではなく、キツネが襲い掛かってきたからという申し開きでした。
しかしこの事件そのものよりも、もっと重大なことがあったのです。
長七郎を京に誘った栄一からの手紙が見つかり、取り上げられたのです。
手紙の内容は、「近いうちに幕府は必ず行き詰まる。我等が国のために尽くすのはこれからだ。機を逃さず京にくるように」というものでした。
これらの詳細を牢屋にいる長七郎からの手紙で知った栄一と喜作は、自分たちに危険が迫っていることをヒシヒシと感じたのです。
手紙を受け取ってから一睡もせずに喜助と頭を突き合わせて手立てを考えても、何もよい方法がみつかりません。
まんじりともせず迎えた朝、平岡から屋敷に来るように呼びしだしがありました。
平岡は全てを承知していました。
栄一たちが討幕を企てて動き回っていたこと。
性懲りもなく仲間を京に呼び寄せ、あろうことかその仲間が飛脚を切り殺し牢屋に繋がれていること。
平岡の家臣として京に上った二人が、本当に家臣なのかどうか、幕府から確認の問いあわせがあり平岡の知るところとなったのです。
幕府としても徳川一門の家来に手出しはできないため、家臣であるかどうかは重要なポイントです。
平岡は弱りはてた二人に尚もいいました。
「幕府はお前たちが儂の家臣でないことは十分承知している。今回の問い合わせは、一橋家に配慮してのことにすぎない。儂も家来だと嘘を報告するわけにはいかない。どうだ?いっそのこと本当の家来に士官してみないか?」
尊王攘夷の志士が徳川御三家の一橋家に士官
「一橋家の殿様は有能なお方だ。一命を託してみる価値がある。」
そう説得されても、つい昨日手紙が届くまでは尊王攘夷一辺倒の志士のつもりでいたのです。
明日から徳川御三家の一橋家に仕えるとあっては、余りの節操のなさではないか。
それほど命が惜しいのかと揶揄されるのも避けたいし、男としての対面に傷がつく。
そんなこんなで迷いに迷った末、自分たちが生き残り、捕らわれた長七郎たちを助けられるかもしれない方法は、士官しかないという結論に達しました。
翌日、再び平岡邸を訪れ一橋家に仕えることを承諾したのです。
武士になり頭角を現す渋沢栄一。
世の中は急速に変貌していくことになります。
平岡円四郎の人柄
明察力・洞察力に特に優れた人物だったようです。
人の顔色や一挙手一投足から相手の気分や用向きまで推察し、それがほぼ的を得ているという人でした。
余りにも鋭敏すぎて先が見えすぎる人の先回りをすることが多く、突出して優れていた分人から嫌われることも多かったようです。
実際1864年に暗殺され、平岡円四郎は亡くなっています。
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