2021年NHK大河ドラマ「青天を衝け」の主人公、渋沢栄一たちが冬至の日に事を起こそうとした討幕の計画は?
この頃の日本は尊王攘夷運動の中心人物たちを洗い出そうとする、幕府側の探索も厳しくなっていました。
桜田門外の変に続き坂下門外の変が起き、次々と幕府の重臣である老中が殺されるなどしていたためです。
さてこうした最中、栄一たちはどうしていたのでしょうか?
計画は無謀ただの暴挙! 尾高長七郎からの意外な言葉
尾高長七郎は藍香という号を持つ尾高惇忠の弟です。
長七郎はバキバキの尊王攘夷論者で、坂下門外の変にも関与していました。
兄の説得もあり実行そのものには参加してはいまんでしたが、幕府は参加者を徹底的に調べていました。
捕縛されることを恐れた長七郎はいったん京へ逃げます。
そこで現実というものを学んできたのでしょう。
栄一たちの計画を聞くなり「暴挙以外の何物でもない!」と一括しました。
一番賛同するはずだと思っていた強硬な尊王攘夷派の長七郎の言葉に、若者たちは憤ります。
怒号が飛び交う中、長七郎は淡々と現状を説明しました。
「例え高崎城を取れたとしても横浜に向かった時点で藩兵に討伐されるだろう。彼らは最新式の銃を持ち訓練された兵士。こちらは農民上がりの集団。切り崩せるはずがない」
「京では薩摩藩や会津藩などの公武合体派が尊王攘夷派の筆頭・長州藩を京から追い出す事件があった」
「尊王攘夷を旗印に朝廷や長州藩を後ろ盾にし決起した土佐藩脱藩浪士たちの天誅組は、幕府の討伐命令を受けた紀州藩などに襲われ壊滅。」
こうした話を聞いた後でも栄一たちは行動を起こすことを是としていました。
懸命に計画を練りそのためにまい進してきた自分と、仲間たち。
今更振り上げた手をどこに下ろせば良いのか分からなかったのでしょう。
しかし時間を経て再び話し合いをした時、栄一は長七郎の言葉に理があることを認めたのです。
ここで栄一たちの討幕計画は頓挫しました。
仲間たちには納得してもらうために説得に走り準備金の残りを分配し、集めた武器の後始末に奔走するなど、それはそれで戦々恐々とした日々を送っていたでしょう。
しかしこうした情報が幕府側に漏れないわけがありません。
捕縛される危険を目の前にして栄一たちが取った行動は、平岡円四郎を目指して京へ行くことでした。
栄一・喜作 京へ走る
伊勢神宮にお参りし京見物をしてくる。
それが栄一と喜作が村を出る理由でした。
この時栄一には産まれたばかりの長女・歌子がいたのです。
栄一たちの目的は、政変の中心にある京で情報を集めること。
一方、平岡は妻にこう言いおいて京に向かったのです。
「もし渋沢が家来にして欲しいといってきたら、いつでも許して良い。京の屋敷を訪ねるよう伝えて欲しい」
江戸に着くと真っ先に訪ねた平岡の家で、妻女から平岡の言葉と通行手形を受けとることができた二人は、一路京を目指します。
しかしここが渋沢栄一がボンボンだと思われるところなのですが・・・
2人は士官するつもりなど毛頭なく、高級旅籠に逗留し父から預かった100両をひたすら遊び惚けて使ってしまいました。
お金が無くなった二人は、仕方なく一橋家の側用人猪飼正為から借金をして暮らしていたのです。
お金の苦労をしたことがなかった栄一、埼玉の血洗島村という田舎から京に初めて上がったお上りさん。
昔も今も都会に出た途端、リズムが狂ってしまう若者が多くいるのは仕方のないことかもしれません。
しかしこんな悠長な生活が急転する出来事が2月に起こります。
余談ですが、栄一たちが村を出たのが10月、驚愕するような出来事が起きたのが翌年2月初旬。
4か月余りで100両、現代のお金に換算すると1000万円近い金額を・・・こっちの方が驚愕するわ!と突っ込みたいのは筆者だけでしょうか!
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